Terminal of a xxx…

下のプロフィール画像を押した先のAbout参照。

サンデュー木立


f:id:valdish78:20190219161311j:image

 

 クランベリー湿原は紅い。

 足元ばかり気をつけていると、羽ばたきが遠くから聞こえてくる。かといって空に気を配れば足を掬われる。

 正直なところ、私はここが好きじゃない。だけども、空を我が物顔で飛ぶコウモリはもっと好きじゃない。

 獲物として見つかる前にサンデューの群生地に身を隠す。

 

 


f:id:valdish78:20190219161538j:image

 

 綺麗だけども、マスクが無いとあっという間に病気にやられる。この植物は私達に安全なんてものは与えてはくれない。

 ほんの少しだけ、身を隠させて貰おうという私の『お願い』は通じない。それどころか栄養が来たとばかりに、種を上から降り注がせてくる。


f:id:valdish78:20190219160844j:image

 

 宙を舞う種は陽に当たってキラキラと降り注ぐ。綺麗なのだけど、感嘆よりも不気味さと狂気を心に植え付けられる。

 

 迂闊に近寄るべきではないけれど、木の傍で横たわる白骨を見ていると。最期にこの景色を見れた人は幸せだったのかもしれない──そんな狂った思考に陥ってしまっている自分がいた。

 


f:id:valdish78:20190219160913j:image