サンデュー木立
クランベリー湿原は紅い。
足元ばかり気をつけていると、羽ばたきが遠くから聞こえてくる。かといって空に気を配れば足を掬われる。
正直なところ、私はここが好きじゃない。だけども、空を我が物顔で飛ぶコウモリはもっと好きじゃない。
獲物として見つかる前にサンデューの群生地に身を隠す。
綺麗だけども、マスクが無いとあっという間に病気にやられる。この植物は私達に安全なんてものは与えてはくれない。
ほんの少しだけ、身を隠させて貰おうという私の『お願い』は通じない。それどころか栄養が来たとばかりに、種を上から降り注がせてくる。
宙を舞う種は陽に当たってキラキラと降り注ぐ。綺麗なのだけど、感嘆よりも不気味さと狂気を心に植え付けられる。
迂闊に近寄るべきではないけれど、木の傍で横たわる白骨を見ていると。最期にこの景色を見れた人は幸せだったのかもしれない──そんな狂った思考に陥ってしまっている自分がいた。